シーケンス制御(リレーシーケンス)

制御盤とは何かが分かる-速習したい初心者のための制御盤入門

「制御盤」

このサイトを見ているということは
何かしらの理由で制御盤に興味を持ち
制御盤についてまだ何も知らない状態の方だと思います。

制御盤を徹底的に極めるなら、電気・機械・製缶など ありとあらゆる技術を
勉強する必要はあります。

しかし、その前にその概要を知りたいと
いう方のために 「制御盤とは」について
説明していきます。

1.制御盤の概要

制御盤はまずは機械/設備を電気制御するための電気制御機器・電気機器・
電気部品を入れた箱だとイメージしてください。

あなたの身の回りにも自動で動く機械/設備、例えばエレベーターとか
そういったものは、制御盤で制御(コントロール)されています。

なぜ電気制御機器や電気機器を入れた箱が機械を動かすことができるのか
という細かいことは、ここでは考えないでください。

ヒーター盤

盤とありますが、これは上写真のような鉄箱のことを総称して盤といいます。

電気制御機器や電気機器を入れる箱として、
このような盤を使うので制御盤といわれます。

何々盤と呼ばれるものとして制御盤の他に
配電盤・分電盤・操作盤などがあります。

聞いたことはありますか?

それら盤と制御盤の違いは

配電盤は電気を配るための盤です。キューピクルなどからひかれた
大容量の電源を分電盤へ配るための盤です。

分電盤は配電盤で配られた電源を更に細かく分ける盤です。

操作盤は機械などを操作するめの盤でボタンなどがついている盤です。

(操作盤については
 以下のサイトを参考ください。
→操作盤とは)

制御盤は機械/設備は制御するための盤ですので
これら盤とはまったく違います。

産業現場で仕事をしていると、全てよく聞くキーワードですが
ごちゃごちゃにならず整理して考えてください。

この盤は大型から小型まであります。
大きさによって制御盤かどうかといった定義はなく
制御することが目的の盤なら制御盤といっています。

手で持てるくらいので大きさで
盤ともいえない箱に電気部品を収めたものを制御盤と
呼んでいる機械メーカーもあります。

ですので、細かい定義に神経質にならず制御するための
電気制御機器や部品が1つに収まった盤なら制御盤
だと考えればいいです。

制御盤は機械/設備を動かす上で
例えるなら頭脳のようなものです

 

制御盤の入出力

上図のように
押ボタンやマイクロスイッチ等のセンサーなどからの入力信号が
制御盤へ入力され入力信号に応じた命令を
電磁弁やモーターなどの動力へ出力して機械を思うように動かします。

(マイクロスイッチについては
 以下のサイトを参考ください。
→マイクロスイッチとは)

(電磁弁については
 以下のサイトを参考ください。
→電磁弁とは)

(三相モーターについては
 以下のサイトを参考ください。
→三相誘導電動機(三相モーター)とは?)

この入力信号ならどのように機械を動かすかを決める
盤ですので頭脳として例えました。

自動販売機なら、ボタンを押す・硬貨を入れることで
どういった事(動作)をするか決める制御機が中に入っています。

制御盤はそういったものだと考えてください。

このような制御は
電気制御機器や電気機器を接続してあらかじめ
この入力信号ならこう動かす という電気設計しているから
頭脳のような役割が可能なのです。

ただ、電気制御機器や電気部品が箱に入っているだけでは無理です。

その電気設計については後程説明します。

世の中には電気で自動制御される機械/設備は山ほどあり
その制御に使う機器一式をまとめた箱を制御盤と呼ぶのです。

制御盤は
ビル・マンション、農業、工場設備、運輸設備、交通・・・
などなど 様々なところで自動制御に使われています。

盤を設計製作する業者を盤屋と呼ぶこともあります。

2.制御盤に使われる電気制御機器や電気機器

制御盤は様々な電気制御機器や電気機器・電気部品など
を入れた箱だといいました。

制御盤の内部

この上写真のように様々なものが入っています。

ここでは、実際にどのような電気制御機器が入っているのかと
その機器の概要を紹介しておきます。

制御盤や電気制御について初心者の場合は
ここでの概要説明でその機器が100%理解できれば
奇跡だと思います。

ですので、しっかり理解できなくても気にしないでくださいね。
そんなもんなんだ ぐらいで理解できればいいと思います。

・押ボタン

エレベーターや自動販売機にあるボタンと同じだと考えてください。
制御盤も押ボタンを押して動かします。
制御盤の扉につけられることが多いです。

・ランプ

表示灯をいういい方もします。制御している機械の現在の状態等を
表すことを目的に使います。
例えば運転中なら緑ランプが点灯、停止中は赤ランプ、
異常停止中は黄色ランプといったようにです。

・トランス

トランスは変圧器ともいいます。
交流電圧を別の交流電圧に変圧する時に使います。
三相交流は400Vとか200Vですが、使う部品の使用電圧にあわせたり
感電による大きな事故を防止するため100Vとは24Vに降圧したりします。

・スイッチング電源

制御盤の中には直流電源で動く電気制御機器や電子機器を使うことがあります。
その時、単相交流から直流電源をつくる時に使います。

・UPS
無停電電源装置ともいう。停電などで電源が止まると困る機械や設備もあります。
これを使うことで電源を供給し続けます。

USPについては別サイトでも書いていますので
以下をクリックして確認してください↓

CVCFとUPSの概要と関係について

・電磁リレー

制御盤は機械を制御するための盤ですが、電磁リレーを中心として
制御回路は設計されます。
押ボタンは人間が手で押して動かすのに対して
電磁リレーは電気で動かします。

電磁リレーについては別ページでまとめていますので
以下をクリックして確認してください↓

電磁リレーとは何かを3項目で学習する

・電子タイマー

時間差をもたせて制御したい時に使います。
普通のタイマーと電磁リレーを合体させたものだと
考えてください。

電子タイマーについては別ページで基本的な回路例を
紹介しています。
以下をクリックして確認してください↓

リレーシーケンスのタイマーを使った回路例

・電磁接触器

モーターやヒーターなどを動かす時の入切するスイッチとして
主に使われます。

電磁接触器については別ページでまとめていますので
以下をクリックして確認してください↓

電磁接触器とは、電磁開閉器とは何か、写真とイラストで解説!

・インバータ

三相誘導電動機の回転数を可変したい時に使います。

インバータについては別ページでまとめていますので
以下をクリックして確認してください↓

インバータとは?概要が分かるよう15項目で解説

・ブレーカー

制御盤内の電源を入切します。
どんな制御盤にも必ずといっていいほど取り付けています。

・端子台

制御盤内部の機器と外部の機器を
電線で電気的に接続するターミナルの
役目をします。

制御盤内には必ずといっていいほど
取付けられています。

端子台については別ページでまとめていますので
以下をクリックして確認してください↓

端子台とは

・タッチパネル

スマートフォンと同じだと考えてください。
画面をタッチすることで機械を操作することができます。

画面上にボタンのイラストがあり押すことができます。
そしてイラストのランプを点灯させたりすることもできます。
数字データを表示することもできます。

・電流計と電圧計

電流と電圧を表示する計器です。
制御盤の扉に取り付けられます。
モーターの電流や電圧を測定していることが多いです。

・温度調節器

水や槽内の温度を調整する電子機器。
設定した温度になるようにヒーターの熱を自動調整できます。

・サーボアンプ

サーボモーターをコントロールするための指示を出す電子機器。
エンコーダーなどの位置検出器からの信号を読みこみ
目的の位置との差分を補正するという精密な制御を実現させます。

他にも制御盤でつかう機器は沢山あります。
何を使うかは制御の目的で違うので
一概にこれを使うとはいえません。

ブレーカーと電磁接触器と押ボタンだけのシンプルな
制御盤もあります。

よく聞く近接センサーや光電センサー
電磁弁、リミットスイッチなどは 通常 制御盤の外で
使われるので外しました。

(近接センサーについては
 以下のサイトを参考ください。
→近接センサーとは)

(リミットスイッチについては
 以下のサイトを参考ください。
→リミットスイッチとは)

これら機器を組み合わせる(電気設計)することで
機械を動かす頭脳をつくりあげていきます。

制御盤で使われる電気制御機器については
以下のサイトでも紹介していますので
参考としてください。↓

シーケンス制御でよく使う電気制御機器について

3.制御盤の設計に使われる電気制御技術

制御盤の電気設計をするためには電気制御に関する知見・技術が必要です。

必要な電気制御技術の種類は目的とする制御により違いますが
必ずといっていいぐらい必要なのはシーケンス制御技術です。

シーケンス制御はJISでは

「あらかじめ定められた順序に従って制御の各段階を逐次進めていく
制御のこと」

と定義されています。

身近な例では信号機がシーケンス制御で動作しています。

信号機は赤→青→黄とあらかじめ点灯する色の順番が決まっています。
そしてあらかじめ決められた時間が経過すると色が変わっていきます。

つまり、これがこうなったら、これがこうなる、そしてこうなったら
あれがこうなる

といった順番と次の順番に移行する条件を定めそれに従い動作させる
制御のことをシーケンス制御といいます。

このシーケンス制御は有接点シーケンス制御、無接点シーケンス制御、
PLC制御(PLCはシーケンサと呼ばれることもあります。)
と更に分類されますが、そのどれもが制御盤では使われます。

有接点シーケンス制御は電磁リレーを使って制御回路を設計します。

無接点シーケンス制御はロジックICを使って制御回路を設計します。

PLC制御はPLC(シーケンサ)と呼ばれる電子機器を使って制御回路を設計します。

このブログではシーケンス制御についても基礎講座をつくっていますので
もっと詳しく学習したい場合は以下をクリックしてください。

→シーケンス制御講座

シーケンス制御の他にフィードバック制御も制御盤では使われることがあります。

フィードバック制御は制御結果をフィードバック(帰還)させて、
その差異を補正して精度の高い動作を実現する制御です。

クルマの運転を例に説明します。

50km/hの速度で運転するとした時、ぴったり50km/hにしようと
アクセルを踏んでもピッタリ50km/hになりませんね。
ですので、速度メーターを見ながら49km/hなら少しアクセルを踏み
52km/hならアクセルをゆるめます。

このように実際の速度をフィードバックして、目的とする速度との差異分を補正するよう
動作・制御し続ける制御をフィードバック制御といいます。

フィードバック制御は精度の高い電気制御が実現できます。

制御盤では温度制御や水位制御、あと位置決めなどで使われることが多いです。

このフィードバック制御はシーケンス制御よりも技術的に難しい制御ですが
多くの場合、フィードバック制御ができる電子機器がメーカーから販売されていますので
マニュアルに従ってその電気機器を使うだけでフィードバック制御は実現できます。

精度の高い温度制御をする場合は温度制御機器という電子機器を使えば
この電子機器がフィードバック制御をしてくれます。

マニュアルを理解する力は必要ですが、自分でフィードバック制御の電子回路を
設計しなくても実現はできます。

インバータもよく使われますが、シーケンス制御の技術とマニュアルを理解する力が
あれば簡単に使う分には問題ありません。

電気制御、特にシーケンス制御と機器同士の電気配線の
知見や技術は制御盤の電気設計においては最も重要だといえます。

この3項で、紹介しました有接点シーケンス制御とPLC制御に
ついて、以下のページで別途解説していますので
クリックして参考ください。↓

リレーシーケンスとは何かを速習したい初心者のためのサイト

PLCとは、シーケンサとは何?が83%解消する初心者サイト

4.制御盤の設計・製作までの流れ

制御盤を設計・製作するまでの流れの一例を紹介しておきます。
制御盤を設計・製作する会社(盤屋さん)によって違うとは思いますが
だいたいはこの流れで作成します。

4-1.打ち合わせ・調査等

制御盤は機械/装置を電気制御するためのものです。
ですので、その機械/装置を使う目的やどういった動かしたいか
操作したいか などが分からないことには製作できません。

それを知るために発注主や機械屋さんと打ち合わせを行います。
より良い制御盤とするためには機械に関する知見も必要となります。
その打ち合わせや調査を元に製作仕様書を作成します。

4-2.設計

製作仕様書に基ずいて実際に設計・製作をしていきます。
実現したい制御のためにどういった電気制御機器が必要なのか
なども検討します。
そして、それら機器をおさめる盤や取付位置の
レイアウト図や外径図も書いていきます。

市販の箱を使わずオリジナル製作の場合(サイズが無いなど)
は板金図を書いて盤を製作します。

電気設計については、制御方法・制御フロー・回路図等を
作成してハード設計、ソフト設計をしていきます。

4-3.製作

電気設計や盤製作が完了したら、盤に電気制御機器等を
取りつけて電気配線をしていきます。

4-4.試運転や検査

完成したら現地へ制御盤を移動させる前に試運転や検査を
行います。
間違えなく設計・製作したつもりでも、予定どおり動作しないことは
あることです。
シーケンスチェックなどをして間違えがあればデバックしていきます。

4-5.現地で制御盤の取付

制御盤の取付工事や配線工事(電気工事)を
行います。
機械にモーターやセンサーなどは取り付けられていますので
機械周りの機体配線工事も行います。

4-6.試運転

電気配線含め取付が完了したら動作させます。

実際に機械を動かすと動きが悪かったり改善したい
ところなどが見つかったりするものです。
実機での試運転調整作業を行います。

この段階で仕様の追加・変更が出た場合は、
機内配線の追加、ソフト修正を行います。

4-7.完成

5.制御盤に使う電気制御機器のメーカー

制御盤に使われる電気制御機器等は
いろいろなメーカーのものが使われます。

その一部メーカーを紹介しておきます。

ただここで紹介するメーカーがその電気制御機器を扱う
メーカーの全てではなくあくまで私がよく目にすると
いうだけです。

そのメーカーの目的にあったものがない場合は
ネットで検索して他メーカーを探すこともよくあります。

これらメーカーのカタログには、その機器等について
詳しく解説した技術資料がある場合もあります。
それらは非常に勉強になります。

・盤

日東工業、河村電器産業

・電磁リレー

オムロン、富士電機機器制御、IDEC

・電気接触器/電磁開閉器

三菱電機、富士電機機器制御

・電子タイマー

オムロン

PLC

三菱電機、オムロン、キーエンス

・インバータ

三菱電機、富士電機機器制御、東芝

・ブレーカー

日東工業、テンパールなど
ブレーカーはいろいろなメーカーを見ることが多いです。

・盤用パーツ

PATLITE(春日電機)、日東工業、シノハラ電機など
*春日電機は2017年にPATLITEと経営統合しました。

盤用パーツについてはいろいろなメーカーがいると思います。
自分の思うパーツがない場合、少数しか必要ないのに
ロットでしか購入できない場合は、MONOTAROなどの
ネットショップで購入することもあります。

各会社のホームページのURLを書いておきます。
URLをクリックすれば各社のHPに移動します。

・日東工業

https://www.nito.co.jp/

・河村電器産業

https://www.kawamura.co.jp/

・オムロン

https://www.omron.com/jp/ja/

・富士電機機器制御

https://www.fujielectric.co.jp/fcs/

・IDEC(和泉電機)

https://jp.idec.com/

・三菱電機

https://www.mitsubishielectric.co.jp/

・キーエンス

https://www.keyence.co.jp/

・東芝

https://www.global.toshiba/jp/top.html

・テンパール

https://www.tempearl.co.jp/

・PATLITE(春日電機)

https://www.patlite.co.jp/

・シノハラ電機

https://www.shinohara-elec.co.jp/

・MONOTARO

https://www.monotaro.com/

6.制御盤の設計・製作を学習する方法-参考書籍

私は制御盤の製作を学習する参考書籍を
あまり目にしたことがありません。

唯一、次の書籍を見たことがあるくらいです。

・図解 制御盤の設計と製作

佐藤 一郎 (著)

ただ、この書籍では電気制御について
学ぶことはできません。

電気制御についてはまずはシーケンス制御を
学習する必要があります。

シーケンス制御については参考書籍は
多く販売されていますが、その一部を紹介していきます。

・マンガでわかるシーケンス制御
藤瀧 和弘、 高山 ヤマ(著)

マンガ形式で初心者を対象にシーケンス制御について
解説した参考書です。

・シーケンス制御がわかる本 (なるほどナットク!)
大浜 庄司(著)

初心者の方を対象にシーケンス制御の概要が学習できます。
シーケンス制御の基本回路やそれを使った実用的な参考回路
までを紹介しています。

・必携 シーケンス制御プログラム定石集―機構図付き
熊谷 英樹(著)

シーケンス制御のプログラムを作成する上で参考となる
PLC(シーケンサ)で使うプログラム例が多く記載されています。

以下のサイトで
講師もしています当方が薦める
参考書も紹介していますので
ご参考ください。

→講師が薦める!シーケンス制御,PLCの独学,勉強に良い本19冊から選定

当方では3項「シーケンス制御でよく使う電気制御機器について」で解説した
有接点シーケンス制御とPLC(シーケンサ)制御について
入門教材も扱っております。

手前味噌ですが、まったくの初心者の方には好評です。

制御盤製作に特化した内容ではないですが
購入者様の中には教材をいかして
制御盤を製作した方もいらっしゃいます。

このブログサイトでも紹介していますが
(⇒初心者のためのシーケンス制御入門)
(⇒初心者のためのPLC入門)

本サイトでは詳細に紹介していますので
興味があれば以下をクリックしてご確認ください。

⇒有接点シーケンス制御入門教材:
80代も独学で学ぶシーケンス制御基礎とトラブル対応術の入門教材

⇒PLC(シーケンサ)制御入門教材:
ラダー図で制御して学ぶ講座!実習キット付PLC,シーケンサ入門教材

 

7.まとめ

現代は電気で自動制御している機械/装置がほとんどです。

つまり、その電気制御に使う電気制御機器等を集積した
制御盤はその機械設備の数だけあるといってもいいと思います。

自動化なしには仕事にならない現代の産業現場・製造業では
制御盤は必ず関わる非常に重要なものだといえます。

制御盤へのに関わり方が
設計にしろ、保全にしろ、営業にしろ まずは全体像を知る必要があると
思いましたので、6項目の分けて各概要を説明しました。

このサイトが将来制御盤、各項目について更に詳しくなる
きっかけとなれたならうれしく思います。

別サイトで制御盤の故障修理について
書いておりますので、興味があれば
以下をクリックして参考ください。


制御盤の故障修理方法について

ここまで読んでいただきありがとうございました。

初心者のための講座へ-以下の画像をクリック!
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