インバータ

インバータとは?概要の79%まで分かるよう15項目で解説

このページではインバータとは何かなど
基本的なことを初心者でも79%ぐらい
理解できるよう15項目を書いています。

1.インバータとは

インバータというキーワードは
産業現場や家電製品など多くの場面で
耳にすることがあると思います。

インバータの言葉の意味は
直流を交流に変換することです。

産業機器や家電などの
電機の世界でのインバータとは
モーターの回転速度を可変制御する
機器(部分)として理解されています。

モーターの回転速度は一定ですが、
インバータを使うことで
回転速度(回転数)を自由に変えて
使うことができるのです。

先にインバータの言葉の意味は
直流を交流に変換することだと
書きましたが、

交流モーターで使う製品として
販売されている汎用インバータは
名称はインバータですが

その中にコンバータという
別機能も含んでいることが前提の
インバータであることが一般的です。

では、次に
コンバータとは何か、
インバータとの違いについて
解説します。

2.インバータとコンバータの違い

汎用インバータ汎用インバータ-三菱電機

上の写真は交流モーターの中の1つである
三相誘導電動機で使う
三菱電機の汎用インバータです。

(三相誘導電動機については
 以下のサイトを参考ください。
→三相誘導電動機(三相モーター)とは?)

商品名はインバータですが
中にはコンバータ部もあります。

コンバータは交流を直流に
変換することです。

インバータとは逆ですね。

コンバータは交流電源を直流電源にする
コンバータという商品で販売されていますが

交流モーターで使う汎用インバータには
コンバータ部とインバータ部があります。

どうしてでしょうか

次項のインバータの仕組みで
あわせて説明しますね。

3.インバータの仕組み

インバータ内部インバータ内部のイメージ

上の図がインバータの内部と
外部との接続を簡単に書いたものです。

インバータ内部図は主回路部を
ブロック図的に書いたイメージ図と
考えてください。

(主回路については以下のサイト内で
 説明していますので参考ください。
→シーケンス図とは)

インバータの入力として
商用電源・三相交流と書いていますが、
汎用インバータは商用電源を
主電源/入力電源として使います。

まずインバータのコンバータ部で
商用電源の交流を直流に
変換します。

次にその直流をインバータ部で
交流に変換して出力し、
交流モータ・三相誘導電動機に入力する
流れになります。

どうせ最後は交流にするのに
なぜコンバータで一旦直流に
変換するかは、

このページでは
その方が後々の処理が簡単になるから
ぐらいに簡単に考えてください。

大事なPOINTはインバータ部の
交流に変換するところです。

ここでは出力する交流の周波数を
任意に変化させて出力します。

元々商用電源の周波数は
50Hz(東日本)/60Hz(西日本)ですが
それを変えるのです。

インバータは三相誘導電動機の
回転速度を可変できると
書きました。

以下は同期速度を求める式です。
同期速度は回転磁界の速度です。

(知らないキーワードについては
最後参考サイトを紹介しますので
このままお読みください。)

120×(f/p)

fは電源の周波数でpはモーターの
極数です。

同期速度は三相誘導電動機の
回転速度とイコール(=)では
ありませんが、

非常に関係があり
回転速度は、ほぼ同期速度で
決まると考えていいぐらいです。

pの極数は三相誘導電動機の
コイルの巻き方等に関係があります。

製造時からの構造ですので、
コイルを後から巻替えるわけには
いきませんので、この値は
変更はできません。

ですのでfの周波数を変更することで
回転速度を変えるしかないのです。

そういった理由から
インバータのインバータ部は
ただ単に直流を交流に変換する
だけではなく、周波数も変えて
出力するのです。

ここで書いた回転磁界や極数等に
ついては以下のサイトで
説明しているので参考ください。

→三相誘導電動機(三相モーター)とは?

→三相誘導電動機(三相モーター)の回転原理

4.インバータで制御している製品

インバータは交流モーターの
回転速度(回転数)を可変できますが
どういった製品に使われているか
考えてみます。

家電製品で最も分かりやすいのは
エアコンです。

エアコンは室外機を見ると
モーター(ファン)がついていますよね。

もし、インバータがなければ
止めるか、50Hz/60Hzの電源周波数で
動作させる2択しかありません。

動くか、止まるか だけです。
設定温度にあわせて動作させるのに
苦労しそうですね。

インバータ制御することで
モーターの回転速度を自由に変えて
微妙な温度変化も微調整でき
効率もいいのです。

産業現場では、
コンベアや天井クレーン
エレベータ、ポンプなど
様々な設備で使われています。

分かりやすいコンベアで考えます。

製品が流れてくるコンベア、
物・人によっては、ゆっくり流した方が
いいこともあるし、速く流したい時も
あります。

インバータを使うことで
速度を自由に変えることができます。

ポンプだと、吐出し量などを
変えることができます。

あとで説明しますが
弁で量を調整するより
インバータで調整した方が
効率がいい(電気代が安い)です。

わずかな事例ですが、
他にも多くあると考えると

インバータが現代の様々な仕事に
いかに貢献しているか
理解できると思います。

5.インバータ制御のメリット

インバータで交流モーターの
回転速度を可変することで
様々なことが便利になることは
分かったと思いますが、

家電製品のカタログによく
「インバータ 省エネ」と
書かれているのを目にしませんか?

インバータ制御のメリットは
モーターの回転速度を使いやすく
変えるだけではありません。

ファンやポンプで流量を
減らすときはダンパー・弁を
絞って行います。

しかしそれで流量は減っても
モーターはそのまま回転していますので
消費電力は変わりません。

一般に出力(消費電力)は
モーターの回転数の3乗に比例します。

回転数で3乗も変わるのです!

流量を減らす場合、
インバータでモータの回転数を
減らした方が消費電力は
下がり、

かなりの省エネになることが
わかると思います。

その他ならの省エネ例では

今は、照明はほとんどがLEDに
置き換わっていますが
その前はインバータ式の蛍光灯が
ありました。

このインバータ式も、それ以前の
蛍光灯よりも消費電力は低く
省エネでした。

ファン・ポンプの設備に
インバータ導入すると初期費用は
かかりますが、消費電力が下がり
電気代の下がります。

既に産業現場の機械・設備で
ファン・ポンプを使っている場合
トータルでどちらが得か検討する
価値はありますね。

6.インバータと三相誘導電動機

産業現場でのモーターの速度制御は
インバータで三相誘導電動機を
回転速度(回転数)を可変することが
最も多いです。

現在はそうですが、
50年以上前から、そうだったかと
いうと違います。

その頃はインバータはまだ
一般的ではありませんでしたので

電圧を変えることで回転数を
可変することができる
直流電動機を使ってモーターの
回転速度を変えていました。

直流電動機はメンテナンス性が
悪く、故障も多いのが難点です。

それと比較して三相誘導電動機は
堅牢でメンテナンス性にも富んでいます。

長期間使うと、色々な部位で故障はしますが
軸受であるベアリングの故障以外は、
それほどないという印象を持っています。

(ベアリング故障については以下のサイト内で
 説明していますので参考ください。
→モーター(三相誘導電動機)の故障対処について)

現代では、インバータも小型化・安価
で使いやすくなったことから
インバータ+三相誘導電動機で
モーターの回転速度を変えることが
多くなったのです。

次項からは、三相誘導電動機を速度制御する
多くのメーカーから販売されている
汎用インバータについて書いていきます。

7.インバータの1番基本の使い方

産業現場では下写真のような
特定の機械で使うために製作された
インバータ基板と

ホイストのインバータインバータ基板の例

下写真のような、多くのメーカーから
販売されている誰でも使いやすく
商品化された汎用インバータがあります。

汎用インバータ例汎用インバータ-三菱電機

ここからは、三相誘導電動機の
速度制御をする汎用インバータに
ついて書いていきます。

三菱電機のインバータの1機種を
使って説明しますが
他のメーカーでも、ほとんど
同じですので参考にはなります。

インバータを購入すると
使い方が書いてある下写真のような
マニュアルがついています。

インバータのマニュアル例インバータのマニュアル例-三菱電機

マニュアルには多くのことが
書かれていて製品によっては
200ページ以上あります。

インバータ初心者だと
その量に戸惑って
インバータを使うことに
高いハードルを感じるかもしれませんが

一番重要な回転速度を
変えるだけの使い方は簡単です。

インバータを使うためには
配線接続も必要ですが、
回転速度を変えたいだけなら
難しくありません。

インバータは三相交流を
電源とします。

三相交流の電線3本と
三相誘導電動機のU・V・Wに接続した
3本の電線をインバータ本体に
接続するだけです。

インバータの主回路配線インバータの主回路の配線

下側の写真は、上側の写真の赤枠を
拡大したものです。

下側の写真の赤枠は電線線を
接続する端子ですので
この端子に三相交流の電線3本を
接続する、 そして

白枠のUVWの3つの端子と
下写真のような三相誘導電動機の
端子台とを接続する

三相モーターの端子台UVWの端子台

つまり、とりあえずは
主回路だけ接続すれば
いいということですね。

インバータの主回路の端子には
だいたい記号が印字してありますので
電気屋さんなら見れば、何の端子かは
推測できると思います。

しかし、自信がない場合は
マニュアルを見て確認ください。

理由は、電源線とモーター線を
逆に接続すると1発で
インバータは故障するからです。

主回路を接続したあとは
電源を投入して

インバータの操作ボタンインバータの操作ボタン例

上写真の
「RUN」ボタンで押して始動
「STOP」ボタンで停止
ボリュームを回すと周波数(回転数)を
変えることができます。

この作業で、最も重要で基本である
回転速度を可変できます。

設定するパラメータは
沢山ありますが、
工場出荷時の状態でも
使うことはできます。

後は必要に応じて
マニュアルを読んで
変更すればいいです。

だいたい自分で変更する
パラメータは決まってきます。

私はそれほど凝った使い方は
したことはないですが、
インバータは何十台と
扱ってきました。

全パラメーターの
5%も自分で変更してないのでは
ないかと思うほどです。

必要に応じて調べています。

以上で基本的には使えますので
機械屋さんでも使っている方も
います。

他メーカーだと、
端子の記号やボタン配置・記号等が
違うこともありますが
基本は同じです。

8.インバータの回路図

インバータで三相誘導電動機を
動作させるためには電気配線を
する必要があります。

用途によっては、インバータに
外部機器、部品を接続することも
あります。

それらの接続例を書いた
電気回路図はインバータの
マニュアルに載ってあります。

下の画像は三菱電機のインバータの
マニュアルに載った回路図/結線図の一例です。

インバータの端子配線図例インバータの端子配線図例-三菱電機マニュアルより

電気回路図・結線図といっても
それほど難解なものでは
ありませんので

シーケンス制御の
基本が理解できていれば理解は
できると思います。

(シーケンス制御については
 以下をクリックして参考ください。
→シーケンス制御とは
→シーケンス制御講座)

前項で書きましたが、インバータに
電源線とモーター線を配線接続するだけでも
基本動作はします。

この回路図ではインバータ外部に
色々ついていますが、それは
必要に応じてすればいいです。

沢山あるので全てやらなければ
いけないと困惑しそうになりそうですが
そうではありません。

私が、もしくは他社の仕事で
使っていることがよくある
外部接続を赤で囲いました。

三菱電機のマニュアルを元に
書いていますが、富士電機などの
他社でも、記号等が違うだけで
ほとんど同じです。

ですので、参考にはなると思います。

外部操作で運転

インバータの外部運転端子例インバータの外部運転端子の例

この上の画像で赤で囲んだ端子は
外部運転のための端子です。

例えば、始動や停止などです。

インバータ本体のボタンを
押せば可能ですが
インバータから離れた所で
操作したいこともあります。

そういった時に使います。

この端子に電磁リレーやPLCを
接続することで、外部から
自動でインバータを操作することが
可能となります。

(電磁リレーについては
 以下をクリックして参考ください。
→電磁リレーとは)

(PLCについては
 以下をクリックして参考ください。
→PLCとは)

周波数(回転数)の変更

インバータの外部で周波数変更周波数変更端子

この上の画像で赤で囲んだ端子は
出力する周波数を変更するための端子です。

周波数=モーターの回転数ですので
モーターの回転数を変更するための
端子ということになりますね。

インバータ本体のボリュームで
周波数の変更は可能ですが
インバータから離れた所で
変更したいこともあります。

例えば、微妙に回転速度を
変えながら作業したいときは
手元にコントローラーがないと
できません。

設定状態の出力

インバータのリレー出力端子リレー出力端子

この上の画像で赤で囲んだ端子は
インバータ内部のリレー接点の端子です。

c接点が1つあります。

(c接点については
 以下をクリックして参考ください。
→シーケンス回路設計の基本とは)

このc接点はインバータで異常等が
発生したときに動作します。

例えば、この端子にランプを
接続します。

そしてインバータに異常が発生した時
内部接点がスイッチの役目となり
ランプが点灯するよう回路を
つくります。

こうすることで
インバータの異常を
外部に取り付けたランプで
知ることができます。

その他、設定によって異常発生以外で
接点が動作する条件に変更もできます。

ですので
便利な端子です。

周波数の出力

インバータの周波数出力周波数出力端子

この上の画像で赤で囲んだ端子は
周波数の出力端子です。

この端子に計器を接続することで
周波数をインバータから離れた外部で
見ることができます。

私の会社では、盤製作時、記憶だと
これは過去3~4回ぐらいしか
付けたことはないと思います。

計器等のコストもかかるし
機械のオペレーターは
回転速度を目測で調整するからです。
(私の周囲だけかもしれませんが)

しかし、他社の大きな機械では
付いていることも結構ありますし
計器に周波数を見て正常/異常を
判断するオペレーターもいるので
紹介しました。

下写真はインバータの操作BOX盤です。

インバータの操作BOXインバータの操作BOX

インバータ本体は
この操作BOX盤ではなく
制御盤に取り付けてあります。

離れたところでも周波数が
分かるように周波数の計器を
付けました。

制御端子の写真例

ここまで紹介しました端子ですが
前項で説明に使用したインバータだと
下写真になります。

インバータの制御用端子例インバータの制御用端子例

まとめ

この項では外部回路図として
外部で制御などをする
制御端子について書きました。

以下のページで制御端子の
使い方についてもう少し詳しく
説明していますので
ご参考ください。

⇒インバータの外部制御端子について

9.インバータを取り外す理由

ここまで書いたとおり
インバータは非常に便利な機器です。

私の会社では、
その便利なインバータを
故障していないのに取り外したことが
あります。

それは便利さよりも
不便さが目立ってしまったときです。

インバータは便利ですが
いつかは故障します。

故障すると、そのインバータの
新品価格にもよりますが
通常、修理ではなく新品に交換です。

故障のたびに
交換費用がかかります。

また使い方が悪いと
保護機能が作動して
トリップすることもあります。

下写真はトリップの一例です。
トリップの内容が分かるように
トリップ内容ごとに
表示される記号は違います。

インバータのトリップ例インバータのトリップ例

トリップすると
リセットするまで動かすことは
できません。

保護でトリップすること自体は
いいのですが、なぜか頻繁に
トリップしたりと原因不明で
トリップすることもあります。

リセットすれば使えますが
例えばインバータがオペレータが
操作してはいけない場所(高所とか)に
設置してある場合は

修理工が対処するまで
仕事を止めないといけません。

インバータがどうしても
必要な機械なら別ですが
なくても使える機械の場合は
取り外すことを希望する方もいます。

こうした場合、
インバータを取り外して
電磁接触器、電磁開閉器で三相誘導電動機を
起動するように改造します。

(電磁接触器、電磁開閉器については
 以下をクリックして参考ください。
→電磁接触器、電磁開閉器とは)

電磁接触器、開閉器も消耗部品なので
使っていけばいつかは故障しますが、
インバータより安価です。

10.インバータの故障と対応策と取付の注意

前項で書きましたが
インバータも使っていけば
いつかは故障します。

この項では、故障しやすい条件と
対応策や制御盤への取付上の注意に
ついて書いています。

故障しやすい環境と取付注意

インバータの寿命を短くする要素として
熱があります。

インバータの周囲温度が高く
インバータ自体が発する熱放散が
悪くなると故障を早めます。

昔、高熱を発する台の上に
インバータを設置している機械がありました。

結構な頻度で故障していたので
熱を避けれる設置場所に
変えることで故障はなくなりました。

インバータは制御盤内に取り付けることが
一般的です。

(制御盤については
 以下をクリックして参考ください。
→制御盤とは)

インバータのマニュアルには
熱対策を加味した取付け方が
記載されています。

例えば、インバータの周囲何cmは
熱放散が悪くなるので
他の機器を取り付けない
とかです。

長く使う観点からも
インバータを取り付けるときは
熱設計についても気を配った方が
いいです。

私の会社では、下写真のように
制御盤のファンをとりつける
ことが多いです。

インバータ盤のファンインバータ盤のファン

いい写真がなかったので
分かりにくいかもしれません。

赤枠で囲んだ機器がファンで
青の矢印の先の機器はインバータです。

制御盤の中は、インバータを含め
熱を発する電気機器が多くある場合も
あります。

それをファンで
制御盤外部から外気を入れ
制御盤内部の熱い空気を外部に
放出というイメージです。

常にファンを回転させることに
抵抗がある場合は

温度センサーを盤内につけて
設定温度を超えたら回転する制御を
してもいいですね。
(私の会社ではそうしたこともあります)

あとは熱対策として
インバータの冷却フィン(放熱フィン)部
だけ盤の外部に出せるような
アタッチメントがあります。

インバータの冷却フィンと冷却ファンインバータの冷却フィンと冷却ファン

インバータの底部(下部)には
主回路部品を冷却するために

上写真の上のような冷却フィンと
上写真の下のような冷却ファンが
取付けられています。

それが盤の中にあると
インバータの熱気が盤の中に
そのまま留まってしまいます。

ですので、その部分だけを
盤の外に出して熱気を
盤の中に入れないようにすると
いうことです。

下写真は取付た写真です。

インバータの冷却フィン外出しアタッチメントインバータの冷却フィン外出しアタッチメント-取付写真1
インバータの冷却フィン外出しアタッチメントインバータの冷却フィン外出しアタッチメント-取付写真2

いい写真がなかったので
分かりにくいかもしれませんが
冷却ファンが盤の外に出ています。

そして、

インバータの冷却フィン外出しアタッチメントインバータの冷却フィン外出しアタッチメント-取付写真3

上写真のようにフタをすることで
インバータの熱気は盤にこもりません。

故障時の対応策

インバータが故障して
使えなくなった時の対応策としては、
電磁開閉器を並置することです。

電磁開閉器だと
回転速度は変更できませんが
とりあえずは仕事はできます。

インバータと電磁開閉器で
電線を接続し直す時間が
惜しい場合は、

ボタン1つで
インバータ運転と商用電源運転を
切り替えることができる回路に
しておけばいいです。

私の会社でもしたことはありますし、
他社でもしている制御盤は
見たことはあります。

11.3つの制御方式

インバータには大きく分けて
3つの制御があります。

それぞれの制御は用途に
応じて使い分けられています。

●VVVF
(variable voltage variable frequency)の略

可変周波数、可変電圧の意味です。

その意味の通り、周波数だけではなく
電圧も可変して出力します。

用途は
産業用モーターやポンプやファンなどです

●CVVF
(Constant Voltage Variable Frequency)の略

定電圧、可変周波数の略です。

その意味の通り、周波数だけを
可変して出力します。

用途は
蛍光灯やIH炊飯器などです。

●CVCF
(constant voltage constant frequency)の略

定電圧、定周波数の意味です。

その意味のとおり、電圧も周波数も
一定で出力します。

用途はUPS(無停電電源)などです。

CVCFとUPSについては
以下のページを参考ください。

→CVCFとUPSの概要と関係について

このページでは、
産業用のモーターに使うインバータに
ついて書いていますので
VVVF制御が関係しますね。

このVVVF制御は
V/f一定制御とも呼ばれ
汎用インバータに関わっていると
よく目にするキーワードです。

ですので、どのような制御なのか
簡単に知っておいてもいいと
思います。

以下のページで説明していますので
ご参考ください。

→VVVFとV/F制御とは

12.インバータのおすすめの使い方

インバータは三相誘導電動機の
回転速度を可変するために使いますが
その他でも使うと便利なことがあります。

始動時の衝撃がない

三相モーターは始動時に衝撃が走ります。

通常はモーターはネジ止めをして
設置しているので気が付きにくいですが、
そのまま置いて始動すると、少しモーターが
浮き上がる(跳ねる)もあります。

インバータでは
「じわー」と最初低速で回転させ
徐々に回転速度を上げるような
始動ができます。

設定で最高速度に到達するまでの時間を
決めることもできます。

寸動で使う用途では、
始動時の衝撃で減速機の軸が
折れることもあります。

じわーと、ゆっくり始動させたい時や
軸がよく折れるなど
トラブルがあるときは
インバーターで対策することは1つの手段です。

停止時に回転を止めれる

ブレーキが付いていないモーターだと
停止しても、しばらくは惰力で
回転します。

インバータを使うと、
停止させることができます

ブレーキのように
ピタっと止めるのではなく

設定によって停止操作から回転数が
0になるまでの時間を決めれるので、
時間を長くすると、それだけ
ゆっくりと停止させれます。

ただ、停止後は
機械ブレーキがないので、
動きます(回転します)。

停止後に手動で動作させ
調整したい用途はあります。

そういった用途では便利です。

突入電流を抑える

三相誘導電動機は始動時に
定格電流の10倍近い電流が流れます。

容量の大きな電動機の場合、
非常に大きな電流となります。

電圧降下で他の機器に悪影響がでたり
ブレーカーの定格電流が低ければ
トリップもします。

それを緩和するために
スターデルタ回路で始動するのですが

インバーターで始動すると
大きな突入電流は流れませんので
そのまま始動できます。

負荷や加速時間によりますが
直入れ始動やスターデルタ始動よりも
突入電流を抑えることができます。

突入電流によるトリップを避けるため
実際に使う電流値より

大きな定格電流のブレーカーを
つけることもありますが
それが必要なくなります。

13.インバータのメーカー

産業機器を扱う大手電機メーカーは、
汎用インバータはほとんどのメーカーが
扱っているのではないかと思います。

東芝、三菱電機、富士電機、オムロン
日立、横河電機、安川電機、

思い当たる限り、ざっとあげても
これぐらいありますが
まだまだ扱っているメーカーは
あります。

14.メーカー間の差

私は全てのメーカーの
汎用インバータを使ったわけでは
ありませんが

数社使った限りで
各メーカーで性能に差が
あるとは思いません。

どのメーカーでも使い方や
機能・設定は似ているので
メーカーが変わっても
そこまで困ることはありません。

ただ、やはり設定の操作などが
違いますので(似てはいますが)
マニュアルを読んでいくのは
手間です。

ですので、自然と
使い慣れたメーカーを
使うようになっていきますね。

故障時の新品交換では
メーカーで基本機能に
差はありませんので

その際に使い慣れた
メーカーに置き換えたることは
よくあります。

15.単相誘導電動機のインバータ制御

単相誘導電動機の回転速度を
可変したいこともあります。

私が知る限り
単相誘導電動機用の
インバータはありません。

ただ、三菱電機では
指定したファンのみで
使用できる(動作保証する)
単相用インバータを販売しています。

もし、単相電源しかない場所で
ファンの回転数を可変したい場合
参考になるかと思い書きました。

16.まとめ

インバータは、本当に便利なものです。

多くのメーカから販売されている
汎用インバータは使いやすく、
機械屋さんでも使っています。

モーターで駆動する機械の速度を
可変したい場合は
どうぞ試してみてください。

これを書いている2022年現在
半導体不足、コロナが原因で、
市場からインバータが不足しています。

私の会社がいつも在庫にしている
インバータの入荷は1年先です。

今使っているものが
補充されるまで、故障しないで
欲しいです。

不足したとき、インバータの
重要さが改めて分かりますね。

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