電気制御機器/電気部品

変流器:【7項目】で原理や使い方など基本を解説

このページでは、変流器について
解説しています。

電気に関わると聞くことが多い
CTの2次側開放についても
説明しています。

今、電気基礎を学習している方には
参考になると思います。

1.変流器とは

変流器は
「変」と名称についているように
電流を変える機器です。

主な使用目的は、電流計に
接続して電流値を測定することです。

変流器は、実際に流れた電流値を
下の絵のように
1/n倍にした電流値を2次側へ出力します。
(2次側については後述します)

変流器の作用変流器の作用

決して電流を分岐して2次側へ
1/n倍が流れているわけではありません。

変流器があっても
負荷へ流れている電流値は変わりません。
(そこは次項で説明します)

電流が1000Aとか大電流を測定する場合、
電流値が大きいことに伴い
電線は太くなったり測定に使う機器が
全て大きくなり、コスト・ロスが大きくなります。

そういった理由から
変流器を使って、1/n倍になった
小さい電流を測定してコストロスを減らし
作業しやすくするのです。

変流器はCTやカレントトランスとも呼ばれます。

CTはCurrent Transformerの略です。

電気屋さんは、変流器とはいわず
CTという人も多いのでこの呼び方も
覚えておいた方がいいです。

2.変流器の原理

変流器は、電流値を変換する
計器ですが、その原理は
変圧器、トランスとほぼ同じです。

変圧器は電圧を変換するが
変流器は電流を変換する、
と簡単に考えてもいいと思います。

下図を参考に説明します。

変流器の原理変流器の原理

負荷への電流が鉄心に巻かれた
巻線を通して流れます。

そして、磁束が発生し
同じ鉄心に巻かれた巻線へ
2次電流が流れます。

変圧器は1次巻線と2次巻線の
巻き数の比で変圧比が
決まっていましたが変流器も同じです。

2次電流は、1次電流の
(2次巻数)/(1次巻数)倍の電流値になります。

上の絵を例にすると
1次巻き数は2巻、2次巻き数は4巻、
1次電流を100Aとすると
2次電流は 100×(2/4)=50Aになります。

1次電流と2次電流の比を
変流比とかCT比といいます。

このように、変流器に電流計を接続して
変換して小さくなった電流を測定するのです。

次項では、2次電流の値について
説明します。

3.2次電流の定格とCT比

変流器の2次電流には定格があります。

定格電流は、それ以上の電流を
流して使ってはいけない値です。

変流器の場合は標準で5Aと
定められています。

1A品もありますが、標準は
1次電流が何Aであっても5Aと
なっています。

前項で1次電流と2次電流の比が
CT比と書きました。

2次電流は5Aなので
200/5 とか 1000/5 と
いうように表記されています。

200と1000が1次電流の定格で
1次側にこの電流が流れたとき
2次側には5A流れるということです。

選定時は1次側に最大何A流れるかを
考えて、1次電流の定格内で
選定していきます。

4.変流器の種類

変流器は巻線型、貫通型、棒型が
あります。

下写真は巻線型と貫通型に
なります。

巻線型の変流器巻線型の変流器
貫通型の変流器貫通型の変流器

貫通型は下絵のように
貫通部に測定したい電流が流れる
電線を通して使います。

貫通型変流器の使い方:富士電機のカタログより貫通型変流器の使い方:富士電機のカタログより

測定したい電流が流れる電線が
1次側となり、電流に応じた
磁束が発生し2次側に電流を
流します。

私は、自分の業務では
貫通型の変流器を扱うことが
ありますね。

使用例としては、

大型の三相誘導電動機を
駆動する制御盤で
三相誘導電動機に流れる電流を
監視するためです。

測定したい電流が流れる電線は
盤の中ですが変流器を使うことで
盤の扉につけた電流計で
電流値を監視することができます。

インバータ盤の中の変流器インバータ盤の中の変流器

上写真はインバータ盤で取り付けた
変流器です。

盤の扉に付けた電流計盤の扉に付けた電流計

三相誘電動機に接続した電線を
変流器を通し電流を、盤の扉につけた
電流計で測定しています。

下写真は電流計の裏面ですが
変流器を使うことで
このような細い電線を使うことができます。

電流計の裏面電流計の裏面

(三相誘導電動機については
以下のページを参考ください。
→三相誘導電動機(三相モーター)とは?

(制御盤については
以下のページを参考ください。
→制御盤とは何かが分かる

(インバータについては
以下のページを参考ください。
→インバータとは?概要の79%まで分かるよう15項目で解説

5.変流器の記号

電気回路図上での変流器の
記号は下図になります。

変流器の記号変流器の記号

そして、実際の回路図上では
下のように書かれます。

変流器と電流計の回路図例変流器と電流計の回路図例

変流器には計器を接続するので
電流計にしています。

三相交流の1相に変流器を
つけて、その相の電流を
測定しています。

6.貫通型のターン数

貫通型の変流器は
巻数を変えることで1次側の
定格電流を変えることができます。

変流器2ターン変流器2ターン

上写真では、2巻(2ターン)に
しています。

例えば、定格1次電流が100Aの
変流器の場合

1ターン:
定格1次電流100A 定格2次電流5A
2ターン:
定格1次電流50A 定格2次電流5A
4ターン:
定格1次電流25A 定格2次電流5A
(詳細はカタログを確認ください)

というように、2次電流の定格は変わらず
1次電流の定格だけを変更できます。

変換の比率は変わらず
元々の仕様が100A/5Aだからといって
4ターンで1次側が25Aのとき、2次側が
1.25Aということはなく

1次側が定格流れれば、
2次側も定格流れます。

この方法は
1つの商品でいくつかの定格を
作れるメリットがありますね。

7.変流器、CTの2次側開放とは

電気屋なら、
「CTの2次側は開放していけない」
と聞いたことはあると思いますが、

なぜいけないのか、するとどうなるのか
までは知っていない方もいると思います。

この項では、その理由などを
説明していきます。

下図はCT(カレントトランス)の2次側の等価回路です。

CTの2次側開放:等価回路CTの2次側開放:等価回路

CTの2次側では、鉄心に巻き付けた
コイルと測定のための電流計があります。

鉄心コイルの抵抗(インピーダンス)は
非常に高いですが、電流計の抵抗は
それほど高くはありません。

ですので、電流はほとんど電流計に
流れ、鉄心コイルには磁束を発生させる
励磁電流が主に流れます。

CTの2次側開放:開放時の等価回路CTの2次側開放:開放時の等価回路

2次側を開放するということは
電流計の抵抗は0、無限大となります。

すると、電流は高抵抗の
鉄心コイルに流れます。

2次電流値は1次電流で決まります。

電圧=電流×抵抗

抵抗が高いので高電圧が発生し
CTを破壊(絶縁破壊)します。

なので、電流計は外すとか
CT(カレントトランス)の2次側を
開放するときは電源を切る
(1次側に電流を流さない)

もしくは、2次側を短絡させて
行うことが常識になっています。

2次側に流れる電流値は
1次側の電流で決まるので
短絡させても、それ以上の電流は
流れません。

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