シーケンス制御(リレーシーケンス)

【5項で解説】無電圧接点(ドライ接点)と有電圧接点とは

このページでは電気制御に関わると
耳にすることが多くある
無電圧接点と有電圧接点について
5項にわけて解説します。

無電圧接点はドライ接点、
有電圧接点はウェット接点とも
呼ばれます。

特に無電圧接点は、電気接続の
注意書で「接続は
無電圧接点を使って下さい。」
とか書かれていることはあります。

私は機械の電気改造の仕事の時、
多少電気制御が分かっているお客様から
「無電圧接点を使うよう書かれているけど
無電圧接点は何?」

とか

教材の購入者様から
「無電圧接点とは何か分かりません。
教えてください」
という質問を何度か受けました。

こういったことからも
無電圧接点に関わることが多く
電気初心者の方は
何のことか分からない方が多いようです。

決して難しくないので
このページを読んで今日から
無電圧接点、ドライ接点が何か
無電圧接点と有電圧接点の

違いが分かる
技術者になってください。

初心者の方に向けて書いていますので、
ある程度のことは分かっている方は
以下の目次を見て、その項から
読んでください。

1.接点とは

まず接点とは何かから
説明します。

接点を示す絵接点を示す絵

上の絵のように、導体同士が
接触する点を接点といいます。

導体ですので、接触すると
電気(電流)を流れます。

小学校の理科の実験で
やった、
下の絵のように、
電池で電球を光らせましたよね。

接点の説明接点の説明

その時、スイッチを押しますが
押すことで接触する部分が
接点です。

接点にはa接点、b接点、c接点と
ありますが、このあたりについて
もっと詳しく勉強したい場合は
以下のサイトを参考ください。

シーケンス回路設計の基本とは

2.無電圧接点と有電圧接点とは

では、本題である
無電圧接点と有電圧接点について
説明します。

1項で使った下の絵で説明します。

有電圧接点の説明有電圧接点の説明

この絵は電気回路内に電池があります。
電池は電圧をかけます。

乾電池を見れば、1.5Vとか
記載されていますよね。

この接点には、電池が接続されていますので、
電池=電圧をかける、ということで
電圧が有と いうことになります。

こういった接点を有電圧接点、
もしくはウェット接点といいます。

今度は、この下絵です

無電圧接点の説明無電圧接点の説明

この絵は
接点だけで電池もありません

つまり電圧は無いのです
こういった接点が
無電圧接点、ドライ接点です。

その接点の電気回路内に、
電圧がかかる接点が有電圧接点、

電圧がかからない接点が無電圧接点
ということになります。

ただ、この絵のように
電池(電源)がない接点が
無電圧接点だとすると
使い道がないように思えます。

次からは、無電圧接点を
どう使うのかを説明していきます。

3.なぜ無電圧接点が必要なのか

下のボタンの配線図の絵を見てください。

ボタンを使った無電圧接点の説明ボタンを使った無電圧接点の説明

1つのボタンに2つの接点があります。

その接点1つに先程の電池とランプ
を接続し、ボタンを押して
ランプを点灯させます。

ここで、このランプが点灯したとき
まったく別の電気製品も同時に
スイッチを入れたいことがおこりました。

その配線図の絵を下に書きました。

異電圧で無電圧接点を説明異電圧で無電圧接点を説明

ボタンの使っていない方の接点を
使って、別の電気製品のスイッチ
しました。

この電気製品の電源は電池ではなく
コンセントの電源(AC100V)です。

もし、これがランプを点灯させる接点を
使った場合、電源が違うし、
電気回路(電気製品)も違います。

誤動作が起こったり、最悪、製品を
故障させてしまいます。

何が起こるわかりません。

ですので、注意書には
「無電圧接点を使って下さい」と
書くんですね。

無電圧接点は、どの電気回路の電圧も
無い、独立した接点ですので
安全です。

無電圧接点の意義が
わかりましたでしょうか。

無電圧接点を使う一例は
外部の電気製品を
制御するために使います

外部の電気製品にも
別の電圧が印可されており
制御に使う接点が有電圧接点だと
違う電圧も混合され
誤動作、もしくは故障させて
しまう恐れがあるわけです。

4.電磁リレーで説明

3項では、簡単に考えるため
絵のボタンを説明で使いましたが、
そのせいで余計に分かりずらく
なったかもしれません。

ここでは、より実践的に
考えるため電磁リレーで
考えてみます。

あなたが電磁リレーについて
分からない場合は
以下のサイトをご覧ください。

電磁リレーの説明だけで
1ページできてしまうので
このページでは割愛します。

電磁リレーとは何かを3項目で学習する

電磁リレーはコイルに
使用電圧を印可することで
接点をON/OFFできます

先のボタンのように手動ではなく
電気制御次第で自動で
コイルに電圧を印可して
接点を動作させれます。

電磁リレーは
接点が複数あります。

余った接点を無電圧接点として
使い、他の外部の電気機械と
連動させ制御することも
できます。

例えば、電磁リレーで
モーターが動作したら、
別の機械のモーターも
連動して動作するよう

無電圧接点を使って
その別の機械のモーターが
動作する制御のスイッチ
とするわけです。

この2つのモーターは
別の機械のモーターなので
有電圧接点は使わない方が
いいのです。

なんとなくでもイメージ
できましたでしょうか

電磁リレーの接点はその1例であり
電磁接触器やセンサー等、その他
色々な電気制御機器の無電圧接点を
使うことで様々な 

他機器間での連動した制御が
実現できます。

(電磁接触器については以下を
 クリックして参照ください。
電磁接触器とは、電磁開閉器とは何か、写真とイラストで解説!

5.無電圧接点を使った実例

では、最後の無電圧接点を使った
機械制御の実例を紹介しておきます。

やりたいこと

まったく別の機械同士を電気制御で
連動させ自動的に加工作業をさせたい。

少し具体的にいうと、
工作機械と工作物を回転させる
テーブルを連動させたい。

工作機械で工作物のある部分の加工が
終了したら、テーブルが回転し
別の加工したい部分が
刃物部分に移動し加工を開始する。

それを自動的に繰りかえしていく
ことがしたい。

テーブルの仕様書

この機械同士は、メーカーも違う別もので、
最初からこういったことがように
なってない。

後付けで制御回路を組む必要がある。

テーブルの仕様書には、
この端子とこの端子間に無電圧接点を
接続してください。

接点が閉じれば、テーブルは
回転します。

と書かれている。

やったこと

工作機械側に、加工が終了したら
閉じる無電圧接点を準備した。

接点は電磁リレーの接点を使う。

加工が終了したら電磁リレーの
コイルの使用電圧が印可され、
その無電圧接点が閉じる
電気回路を工作機械の
電気回路内につくる。

この結果、思い通りに
動作するようにできました。

以下の配線図のような感じです。

ドライ接点を使った機械制御ドライ接点を使った機械制御

もし、無電圧接点を使わなかったら

無電圧接点ではなく有電圧接点の場合、
工作機械側とテーブル側の電源(電気)が
通じてしまい、異常電流が流れてしまい
誤動作等をおこしかねません。

(元々、まったく別の機械ですから)

無電圧接点だと、テーブル側の電気(電流)が
工作機械の電気回路内の接点に流れても
故障したり誤動作の原因となることはありません。

6.まとめ

無電圧接点(ドライ接点)と
有電圧接点(ウェット接点)の違い

無電圧接点を使う意味が
分かりましたでしょうか?

5項では、テーブル側の仕様書に
無電圧接点について記述が
ありましたが

記述がない場合でも
電気回路を工夫し、無電圧接点を
使えば

違う機械同士を連動させることも
できます。

あなたの業務の効率化に
役立ててください。

当方では、このページで
書きました無電圧接点、有電圧接点に関係する
シーケンス制御についての
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