このページでは空気圧制御で
使うスピコン(スピードコントローラー)
について解説しています。
空気圧関連のサイトではない
当サイトで扱う理由は
シーケンス制御は電気制御ですが
空気圧も絡むことが
よくあるからです。
ですので、故障調査・解析時に
概要ぐらいは理解していないと
調査を進めにくいことも
あります。
あなたが
電気エンジニアでも
知っていて役には立ちますので
読んでみてください。
目次(クリックすると自動で飛びます)
1.スピコンとは
2.スピコンの構造と内部の動き
3.2種のスピコン
4.スロットルバルブとニードルバルブとは
5.スピコンの使い方、回す方向
6.メタリングバルブとは
7.スピコンのメーカー
8.注意
9.まとめ
1.スピコンとは
![スピコンの例:モノタロウHPより](https://www.denkishuri.com/wp/wp-content/uploads/2022/09/supikonre-e1664262065725.png)
上写真がスピコンです
スピコンは流量制御弁、
速度制御弁の中の1つです。
意味はその名前のとおり
空気の流れる断面積を小さくして
流れる量を制限して
シリンダー等の負荷の動作速度を
調整する弁ということです。
スピコンは
スピードコントローラーの名前で
販売しているメーカーも
あります。
空気圧が分かる方の中では
スピコンという呼び名で通じますし
そのように呼ばれることが多いです。
スピコンはシリンダーや
電磁弁に取り付けて使います。
電磁弁は方向制御弁の1つで
圧縮空気の出入(方向)を切り替える
機器です。
電磁弁はを圧縮空気を
シリンダーに入れたり、出したり
するスイッチのような役割を
します。
電磁弁やシリンダーについては
以下のページを参考ください。
![シリンダー概略図](https://www.denkishuri.com/wp/wp-content/uploads/2022/06/shirinda1-e1654324967420.png)
上図はシリンダーの
概略図です。
シリンダーは配管接続口から
圧縮空気を出入させることで
ピストンを出入させます。
![シリンダーの動作概略1](https://www.denkishuri.com/wp/wp-content/uploads/2022/06/shirinda2-e1654324951747.png)
![シリンダーの動作概略2](https://www.denkishuri.com/wp/wp-content/uploads/2022/06/shiridan3-e1654325005157.png)
電磁弁はその出入の方向を
切り替えるために使われます。
スピコンは、シリンダーの
圧縮空気が出入する配管接続口に
取付けられます。
![スピコンとシリンダーの接続](https://www.denkishuri.com/wp/wp-content/uploads/2022/09/supikon2-e1664262109877.png)
圧縮空気の出入口で
その流量を制御することで
速度を制御するのです。
2.スピコンの構造と内部の動き
![スピコンの構造図例:PISCOデータシートより](https://www.denkishuri.com/wp/wp-content/uploads/2022/09/supikon3-e1664277947863.png)
上図がスピコンの構造図例です。
スピコンの主メーカーの1つ
PISCOのデータシートから抜粋しました。
図中の赤矢印のニードルを
回すことで流量を調整し
青矢印が圧縮空気の
出入口になります。
そして、下の図が
スピコンの記号です。
![スピコンのJIS記号](https://www.denkishuri.com/wp/wp-content/uploads/2022/09/supikon4-e1664277985790.png)
スピコンは圧縮空気を
両方向流すことはできますが
下図のように
流量を制御(調整)できる方向と
制御できない自由に流れる方向が
あります。
![スピコンの空気の流れ](https://www.denkishuri.com/wp/wp-content/uploads/2022/09/supiko56-e1664278053232.png)
2つの機能(機構)に分けて考えます。
1つは逆止め弁(チェック弁)です。
下図に示すように
ポペット(ボール)とバルブシートに
分けて考えます。
![逆止め弁での空気の流れ](https://www.denkishuri.com/wp/wp-content/uploads/2022/09/pisiuko6-e1664278222273.png)
←の流れの時はポペットが
バルブシートにあたり流れません。
→の流れの時は圧縮空気の力で
隙間ができ自由に流れます。
逆止め弁では
1方向は流れず他方は自由に流れます。
もう一つは可変絞り弁です。
![可変絞り弁](https://www.denkishuri.com/wp/wp-content/uploads/2022/09/piskon8-e1664278268952.png)
記号の形状からも絞っている
感じがしませんか?
圧縮空気が流れる断面積を
小さくして流量を少なくします。
記号では2つの機能(機構)が
並列に並びますので
1方向は流量を制御する、
他方は自由に流れるということに
なります。
3.2種のスピコン
スピコンを使う
シリンダー制御には
メータイン方式と
メータアウト方式があります。
スピコンには
メータイン用とメータアウト用があり
使い分ける必要があります。
メータイン方式とメータアウト方式に
ついては以下のページを
参考ください。
4.スロットルバルブとニードルバルブとは
スピコンと似たものをして
スロットルバルブがあります
下写真のように形状も似ています。
![スロットルバルブの例:モノタロウHPより](https://www.denkishuri.com/wp/wp-content/uploads/2022/09/suro.png)
スピコンとの違いですが、
スピコンは、1方向だけ
流量を制御しますが
スロットルバルブは両方向で
流量を制御します。
スロットルバルブは
そのことから絞り弁と
呼ばれることもあります
また、スロットルバルブは
メーカーや資料によっては
ニードルバルブと呼ばれることも
あります。
ニードルバルブで検索すると
写真のようなものであり、
スロットルバルブとは
形状がまるで違いますね。
![ニードルバルブの例:モノタロウHPより](https://www.denkishuri.com/wp/wp-content/uploads/2022/09/nidori.png)
役割が同じで絞り弁なので
そのように呼ぶことも
あるのだと思います。
5.スピコンの使い方、回す方向
前述の構造図を見て下さい。
スピコンはロックナットを
緩め、ニードルを回して
流量調整します。
回す方向ですが
反時計回りで速度が速くなり、
時計回りで速度が遅くなります。
回転させた後は動かないように
ロックナットを締めます。
6.メタリングバルブとは
スピコンの1種として
メタリングバルブがあります。
![メタリングバルブ:CKDのHPより](https://www.denkishuri.com/wp/wp-content/uploads/2022/09/metababu-e1664318270470.png)
写真はメーカーの1つである
CKDのサイレンサ付き
メタリングバルブです。
メタリングバルブは
電磁弁の排気口に取り付けます。
排気量を制御するのです。
JISでは電磁弁に取り付ける
スピコンをメタリングバルブと
呼んでいます。
ちなみにサイレンサとは
消音器のことで
排気時の音を小さくできます。
7.スピコンのメーカー
スピコンは、空気圧機器を扱う
メーカーなら製造しているとは
思います。
私がよく見る、よく使うメーカーは
PISCO,CKD,SMCですね。
8.注意
スピコンやスロットルバルブは
流路(空気が流れる断面積)を
狭くすることで、
流量を制御する部品であって
圧力を制御する部品ではありません。
圧力を制御したい場合は
レギュレータを使います。
![レギュレータ:モノタロウHPより](https://www.denkishuri.com/wp/wp-content/uploads/2022/09/regyu.png)
レギュレータで圧力を下げれば
圧縮空気の量も下がるので
速度調整に使えそうなものですが
圧力自体が下がっているので
シリンダーなどの負荷の力も
下がるので知ったうえで
行っています。
また、
スピコンやスロットルバルブは
圧縮空気の流れを完全に
遮断するための部品ではありません。
締めてもわずかに
漏れることはあります。
ハンドバルブなど
それ専用の部品を使いましょう。
![ハンドバルブ:PISCO製](https://www.denkishuri.com/wp/wp-content/uploads/2022/09/hando-e1664339897284.png)
9.まとめ
このページでは
スピコンの概要と
スピコンと類似する部品と
その違いを説明しました。
空気圧制御の自動機械も
電気が絡むことがほとんどです。
圧縮空気の方向を制御する
電磁弁は電気で
動作させるからです。
当方では電気制御に関係する
初心者向のシーケンス制御の教材も
扱っていますので
興味があれば
以下の画像をクリックして
ご確認ください。
●リレーシーケンス教材に
ついては以下の画像をクリック
●シーケンサ教材に
ついては以下の画像をクリック